姿勢改善
施術の役割
姿勢の悪くなる原因は、①筋肉のアンバランス②関節の可動域制限③神経系の影響④生活習慣⑤遺伝の5つです。
悪い姿勢は単なる見た目の問題ではなく、肩こり・頭痛・呼吸機能低下などの健康問題につながるため、意識的なケアが必要です。
施術の役割は、筋肉、関節へのアプローチが主になり、それぞれがどのように影響しあっているかを見極めストレッチ、マッサージ、鍼灸、関節包内改善モビリゼーションを施し必要な動きを回復させ上下肢の動きだけでなく背骨の動きもスムーズになるように導くことです。
しかし施術後は、きれいな姿勢になっても、時間がたてば必ず戻ってしまいます。この原因が神経系の影響、言い換えれば、姿勢制御の影響の低下が原因なのです。
姿勢の維持は2つの要素があり、中枢神経系(脳、脊髄)によるコントロールと固有受容感覚(関節や筋肉の位置を感知するセンサー)になります。特に固有受容感覚が低下すると、正しい姿勢を認識出来ず、崩れた姿勢が習慣化してしまいます。
施術後すぐに戻るということは、施術だけでは神経系にアプローチ出来ないということです。
この固有受容感覚の機能を維持向上させるには、バランストレーニングやウエイトトレーニングが特に効果的です。
特にフリーウエイトトレーニングは、他の運動に比べ、多くの筋肉と神経系が協調して働くため固有受容感覚の向上に最も効果的なのです。
姿勢改善法と言えるものは、施術の役割とその維持させていく方法の両方が揃って改善法であると当院では考えています。
そして姿勢制御の役割で頸椎も重要な役割を担っていると考えています。首の固有受容感覚の向上のために考えだしたのが、当院が開発したネックトレーナーなのです。
背骨は身体の土台であり、その健康状態が全身の機能や姿勢、さらには痛みの改善に大きく影響します。しかし、背骨の強化を考慮しない整体や治療院では、一時的な癒しや痛みの軽減に留まり、根本的な改善や持続的な健康は期待できません。
背骨を強化する施術やトレーニングを取り入れることは、真の健康を手に入れるために欠かせない要素です。背骨強化ができない治療は、その場しのぎの対処でしかなく、未来の健康を支える力にはなりません。


背骨のカーブの異常(生理的弯曲の過剰または減少)は、身体全体のバランスを崩し、肩凝り、首の痛み、腰痛などの原因となることが知られています。
この影響は、背骨が負担を分散する機能を果たせなくなり、特定の部位に過剰な負荷が集中することで発生します。
背骨の生理的カーブの乱れは、肩凝り、首の痛み、腰痛を引き起こす主な原因の一つです。これらの症状は、筋肉の過剰な緊張、関節や椎間板への負荷増加、神経圧迫などのメカニズムによって発生します。姿勢改善やエクササイズを通じて、背骨の自然なカーブを維持することが、これらの症状の予防と改善に非常に重要です。
背骨のカーブの異常とは
背骨には、頚椎前弯、胸椎後弯、腰椎前弯という自然なS字状の生理的カーブがあります。
このカーブが崩れると、次のような異常が生じます。
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過剰なカーブ: 例)円背(胸椎後弯の増加)、腰椎過前弯(反り腰)
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カーブの減少: 例)フラットバック(平背)、ストレートネック(頚椎前弯の減少)
これらの異常が、筋肉、靭帯、関節、神経に影響を与え、さまざまな症状を引き起こします。
肩凝りへの影響
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筋肉の過緊張
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頚椎や胸椎のカーブが乱れると、頭の位置が前方に移動(「頭部前方位」)し、肩や首の筋肉(僧帽筋や肩甲挙筋)が過剰に緊張します。これにより、血行不良が起こり肩凝りが生じます。
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エビデンス:Yipら(2008年)は、頭部前方位が肩凝りと強く関連していることを報告しています。また、頭の位置が2.5cm前方に移動するごとに、首の筋肉にかかる負荷が15~20kg増加することが示されています。
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胸椎の後弯増加
胸椎後弯が過剰になると、肩甲骨が外側に広がり、肩周囲の筋肉に過剰な負荷がかかります。これが肩凝りや肩甲骨周りの痛みの原因となります。
首の痛みへの影響
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ストレートネック
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ストレートネックでは、頚椎の前弯が失われ、首の自然なカーブが直線化します。これにより、首の筋肉や靭帯が過剰に緊張し、慢性的な痛みを引き起こします。
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エビデンス:Shikoshaら(2017年)は、ストレートネックが首の痛み(頚部痛)と関連しており、姿勢改善が症状の軽減に効果的であると報告しています。
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神経圧迫
頚椎の異常(例えば頚椎前弯の消失や過前弯)は、椎間孔の狭窄を引き起こし、神経根が圧迫される可能性があります。これにより、首から腕にかけての放散痛やしびれが発生します。
腰痛への影響
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腰椎前弯の過剰または減少
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反り腰(腰椎過前弯): 骨盤が前方に傾きすぎることで、腰椎のカーブが過剰になり、椎間関節や椎間板に過度な圧力がかかります。これが腰痛の主な原因になります。
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フラットバック(平背): 腰椎のカーブが減少すると、腰椎のクッション機能が失われ、椎間板への負荷が増加します。
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エビデンス:Jacksonら(1998年)は、腰椎前弯角度が適切でない場合、椎間板障害や腰痛のリスクが増加することを報告しています。
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筋肉のアンバランス
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腰椎のカーブ異常により、腰部の深部筋(多裂筋や腹横筋)が機能不全に陥り、表層の筋肉が過剰に緊張します。これが慢性的な腰痛を引き起こします。
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エビデンス:Hidesら(2001年)の研究では、腰痛患者は腰部深層筋(多裂筋)の萎縮が見られ、これが痛みの原因になることが確認されています。
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背骨のカーブ異常による連鎖的な影響
背骨の異常は全身に影響を及ぼします。
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骨盤の傾き:背骨のカーブ異常が骨盤の傾斜角に影響し、腰や下肢に痛みをもたらします。
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頭痛:頚椎の異常が筋緊張性頭痛や片頭痛の原因となることがあります。
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エビデンス:Vernonら(1990年)の研究では、頚椎の姿勢異常が筋緊張性頭痛の増加に関連していることが報告されています。