腰痛や肩こりの予防
フリーウェイトトレーニングは、正しいフォームで行えば、体幹筋群の強化や脊柱の安定性向上に非常に効果的であることがエビデンスによって示されています。
これにより、日常生活やスポーツ中の姿勢維持、腰痛の予防、さらにはパフォーマンスの向上が期待できます。一方で、正しいフォームや適切な負荷の設定が重要であり、専門家の指導を受けながらトレーニングを進めることが推奨されます。
腰痛や肩こりの予防には、フリーウエイトトレーニングが効果的だと考えています。正しいフォームで行うことで、体幹を含む全身の安定性を効率的に鍛えることができるからです。


一方で、正しいフォームが取れない方には、骨格や筋肉の柔軟性、筋肉や関節の機能に問題がある場合が多いように思われます。そのため、正しいフォームが取れない原因を見つけ、適切に対処しながらフォームを改善していくことが重要です。このプロセスを通じて、背骨や関節、筋肉を強化し、痛みのない健康な体を作ることが、最も効率的な方法であると考えています。
フリーウェイト(バーベルやダンベルを用いたトレーニング)は、正しいフォームで実施することで、体幹筋群や脊柱の安定性を向上させる効果があることが、複数のエビデンスによって支持されています。
1. 体幹筋群への負荷と活性化
フリーウェイトの特徴
フリーウェイトエクササイズでは、バランスを取りながら負荷を支える必要があるため、特に体幹筋群(腹直筋、腹横筋、多裂筋、脊柱起立筋など)が積極的に働きます。これは、固定されたマシンでのトレーニングとは異なり、補助筋や安定筋が必要となるためです。
エビデンス
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Behm et al. (2010) は、フリーウェイトトレーニング(例: スクワットやデッドリフト)が、マシントレーニングと比較して体幹筋群の活性化が高いことを報告しています。特に不安定な状況下でのトレーニングが、脊柱の安定性を強化することに寄与すると述べています。
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Escamilla et al. (2001) の研究では、スクワット中に腹圧が高まり、体幹部が安定するメカニズムが確認されました。このようなエクササイズは、体幹の安定化に重要な役割を果たすとされています。
2. 脊柱の安定性と負荷分散
フリーウェイトの利点
スクワットやデッドリフトなどのエクササイズでは、脊柱を適切にニュートラルな位置で保持することで、脊椎への過剰な負担を防ぎながら、脊柱周 囲の筋肉を強化します。これにより、動的および静的な状況で脊柱の安定性が向上します。
エビデンス
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McGill (2010) は、フリーウェイトトレーニングが脊柱のニュートラルゾーンを制御するために重要な多裂筋や脊柱起立筋の強化に寄与することを示しました。これにより、腰痛の予防や姿勢の安定化が可能になるとしています。
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Schoenfeld (2010) のレビューでは、スクワットやデッドリフトが脊柱の安定性を高め、スポーツパフォーマンスや日常生活における姿勢の維持に役立つことが確認されています。
3. 姿勢の改善と動的安定性
フリーウェイトでは、自分の身体とウェイトを空間でコントロールする必要があるため、姿勢感覚(プロプリオセプション)が向上し、動的な状況での脊柱安定性を高めます。
エビデンス
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Norway Strength Training Study (2009) では、12週間のフリーウェイトトレーニングプログラムが、体幹の安定性を改善し、姿勢を維持する能力を向上させることが報告されています。
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また、不安定な環境でのトレーニング(例: バランスボールを併用したスクワット)は、さらなる体幹筋群の活性化を促し、動的安定性を向上させるとされています(Behm & Anderson, 2006)。
4. 正しいフォームの重要性
フリーウェイトは、正しいフォームで行うことで初めて効果を発揮します。不適切なフォームは、体幹や脊柱の負担を増大させ、怪我のリスクを高める可能性があります。
ポイント
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ニュートラルスパインの維持: 脊柱を自然なカーブのまま保つ。
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腹圧の活用: 呼吸法と腹筋の適切な収縮で体幹を安定。
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重量の管理: 適切な負荷を選び、無理のない範囲でトレーニングを行う。